建設業許可 【2023年7月1日改正に対応】
建設業の許可について
★お知らせ★
2023年7月1日の建設業法の改正によって、建設業許可の取得に必要な『専任技術者』の要件が緩和されました。
改正点については、『専任技術者』の要件が緩和をご覧ください。
建設業と建設業法
『建設業』とは、元請、下請にかかわらず、建設工事の完成を請け負う営業をいいます。
建設業を営む事業者は、『建設業法』を守って営業しなければなりません。
建設業法でいう『請負』とは、当事者の一方が建設工事を完成させることを約束し、もう一方がその完成に対してその報酬を支払うことを約束することです。
建設工事の契約書が『業務委託契約』や『売買契約』などのタイトルであっても、実態として建設工事の『請負契約』だと判断されると、建設業法の規定が適用されることになります。
建設業許可が必要な工事とは?
次のような場合、建設業の許可が必要になります。
● 建築一式工事
次のどちらかに該当した場合必要
・1件の請負金額が 1,500万円以上
・のべ面積150㎡以上の木造住宅工事
● 建築一式工事以外の建設工事は、1件の請負金額が500万円以上
『請負金額』には、消費税、注文者が提供する材料費等を含みます。
建設工事の種類
建設工事は、29種類で、2つの一式工事と27の専門工事があります。
● 専門工事
大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事、解体工事
● 一式工事
土木一式工事、建築一式工事
『一式工事』とは、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を建設する工事のことをいいます。
たとえば、新築住宅の請負工事の場合。
大工工事、屋根工事、電気工事など、複数の専門工事で施工される建設工事は『一式工事』です。
「一式工事の許可があれば何でもできそう!」と思われがちですが・・・
残念ながら『一式工事』は万能な許可業種ではなく、元請の立場で総合的に施工する工事です。
たとえば、住宅のクロスを貼る工事のみを単独で請負う場合。
建築工事一式の許可ではなく、”専門工事である内装仕上工事”の許可が必要になります。
知事許可と大臣許可
建設業許可には、知事許可と大臣許可があり、許可の申請先が異なります。
● 1つの都道府県にだけ営業所がある場合
→知事許可=都道府県知事許可
● 複数の都道府県に営業所がある場合
→大臣許可=国土交通大臣許可
建設業法でいう『営業所』とは、常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。
『請負契約を締結する』とは、契約を締結する行為だけでなく、工事の見積もりや入札など請負契約の締結に係る実体的行為を含みます。
名称が「○○支店」や「○○出張所」であっても、常時建設工事の請負契約を締結する事務所であれば建設業法上の『営業所』です。
公共工事では、発注者の管轄区域内に営業所があることが入札の参加資格となる場合があるので、どこに営業所をおくかは営業上のポイントになります。
新たに営業所を設置するときは届出が必要になります。
特定建設業許可と一般建設業許可
『特定建設業』は、下請事業者の保護などを目的に設けられています。
● 建設工事の全部を下請事業者に頼むことなく自社(自分)で施工する場合
→ 一般建設業許可
● 元請事業者が、下請金額が税込4,500万円未満の建設工事を受注する場合(建築一式工事は税込7,000万円未満)
→ 一般建設業許可
●元請事業者が下請金額が税込4,500万円以上の建設工事を受注する場合(建築一式工事は税込7,000万円以上)
→ 特定建設業許可
『下請金額』は、下請が複数のときは、その合計額です。
消費税は含みますが、元請事業者が提供する材料費等を含みません。
2023年1月1日から特定建設業許可が必要となる『下請金額』が変わり、上記に引き上げられています。→国土交通省HP
許可を受けるための要件は?
建設業の許可を受けるためには、次の要件をすべて満たしている必要があります。
1.経営業務の管理を適正に行える体制であること
2.営業所ごとに専任技術者がいること
3.請負契約に関して誠実であること
4.財産的基礎または金銭的信用があること
5.欠格要件等に該当しないこと
1.経営業務の管理責任者(体制)とは?
建設業の許可を受けるためには、『経営業務の管理責任者』をおくか『経営業務の管理責任体制』を備える必要があります。
◆経営業務の管理責任者◆
次のどれかに該当する『常勤役員等』が『経営業務の管理責任者』となることができます。
・建設業について、経営業務の管理責任者としての経験が5年以上ある
・建設業について、経営業務の管理責任者に準ずる地位(経営業務を執行する権限の委任が必要)として、経営業務を管理した経験が5年以上ある
・建設業について、経営業務の管理責任者に準ずる地位として、経営業務の管理責任者を補佐した経験が6年以上ある
『常勤役員等』とは
法人の場合 ⇒ 常勤の役員
個人事業の場合 ⇒ 個人事業主またはその登記された支配人
『業務の管理責任者としての経験』とは
営業取引上、対外的に責任ある地位にあって、経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験がある
業務執行社員、取締役、執行役、法人格のある組合等の理事等、個人事業主または支配人、支店長、営業所長など
『経営業務の管理責任者に準ずる地位』とは
経営業務の管理責任者の地位に次ぐ職制上の地位
法人の場合 ⇒ 役員に次ぐ職制上の地位
個人事業の場合 ⇒ 個人事業主に次ぐ職制上の地位、経営業務を執行する権限の委任を受けた執行役など
『経営業務の管理責任者を補佐した経験』とは
建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経営業務全般について従事した経験
◆経営業務の管理責任体制◆
常勤役員等が1人と『常勤役員等を直接に補佐する者』の複数で管理します。
次の1,2のどちらにも該当している必要があります。
1.常勤役員等のうち1人が次のどちらかに該当していること
・建設業について役員等の経験が2年以上、かつ、役員等または役員等に次ぐ職制上の地位としての経験が5年以上ある
・役員等の経験が5年以上、かつ、建設業について役員等の経験が2年以上がある
2.1の常勤役員等を直接に補佐する者が、それぞれ財務管理、労務管理、業務運営の業務経験が5年以上あること
『常勤役員等を直接に補佐する者』の業務経験は、建設業に関することで、申請する事業者(法人または個人事業)での業務経験に限られます。
◆国土交通大臣に上記と同等以上の経営管理体制◆
国土交通大臣に上記と同等以上の経営管理体制であると認められた場合も対象となります。
★社会保険への加入義務
健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入が義務づけられています。
2.専任技術者
建設業許可を受けるには、営業所ごとに『専任技術者』を置かなければなりません。
『専任技術者』とは、その営業所に常勤して、専らその業務に従事する者をいいます。
建設工事の請負契約を適正に結び、その工事が行われることを技術面から確保するためには、許可を受けようとする建設工事について専門の知識が必要です。
そのため、営業所ごとに一定の資格や実務経験がある技術者の設置が義務づけられています。
営業所の専任技術者になるための要件は、一般建設業許可と特定建設業許可では異なります。
● 一般建設業許可の場合
1.一定の国家資格等があること 国家資格等の一覧(宮城県HPより)
2.許可を受けようとする建設業の建設工事について、次の要件に該当すること
①指定学科を卒業後に、次の実務経験があること 指定学科一覧(国土交通省HPより)
- 大学卒業+3年以上の実務経験
- 高等専門学校卒業+3年以上の実務経験
- 専修学校(専門士または高度専門士)卒業+3年以上の実務経験
- 高等学校または中等教育学校卒業+5年以上の実務経験
- 専修学校(専門士または高度専門士を除く)卒業+5年以上の実務経験
②技術検定合格後に、次の実務経験があること(※指定建設業と電気通信工事業は除く)
- 1級第1次検定または第2次検定に合格+3年以上の実務経験
- 2級第1次検定または第2次検定に合格+5年以上の実務経験
※ 施工管理技士・施工管理技士補が実務経験を積んだ場合ですね。
※『指定建設業』土木工事、建築工事、電気工事、管工事、鋼構造物工事、舗装工事、造園工事業
③10年以上の実務経験
④複数業種について一定期間以上の実務経験
3.海外での工事実務経験をがあり、国土交通大臣の個別審査を受け、一般建設業の専任技術者になり得ると認定を受けた
● 特定建設業許可の場合
1.一定の国家資格等があること 国家資格等の一覧(←宮城県HPより)
2.一般建設業の専任技術者となれる要件に該当し、
許可を許可を受けようとしている建設業について、元請事業者としてその請負代金が4,500万円以上であるものについて2年以上の指導監督的な実務経験があること
3.海外での工事実務経験をがあり、国土交通大臣の個別審査を受け、一般建設業の専任技術者になり得ると認定を受けたこと
指定建設業について、過去の特別認定講習を受け、その講習の効果測定に合格、もしくは国土交通大臣が定める考査に合格したこと
★上記の特別認定講習と考査については、過去の法律等の改正時に経過措置的に行われたもので、現在新規に受けることはできません。
3.誠実性とは?
法人・法人の役員等、個人事業主・支配人、支店長・営業所長は、請負契約について誠実性を求めれます。
『誠実性のない者』とは、建設業法・建築士法・宅建法等で、次のような行為をおこなったことで免許等の取消処分を受け、あるいは営業停止等の処分を受けて5年経過しない者をいいます。
● 不正な行為 請負契約の締結または履行時の、詐欺、強迫、横領などの法律に違反する行為
● 不誠実な行為 工事内容、工期など、請負契約に違反する行為
4.財産的基礎・金銭的信用
● 一般建設業の許可の場合
次のどれかひとつを満たす必要があります。
・自己資本が500万円以上あること
・資金調達能力が500万以上あること
・直前5年間、許可を受け、継続して営業していた実績があること
● 特定建設業許可の場合
次のすべての要件を満たす必要があります。
・欠損の額が資本金の額20%を超えないこと
・流動比率が75%を超えないこと
・資本金が2,000万円以上あること
・自己資本が4,000万円以上あること
新規設立の場合は、資本金が4,000万円以上あれば、該当します。
5.欠格要件等
次のどれかひとつでも該当すると、許可を受けることができません。
● 許可申請書または添付書類中に、重要な事項について虚偽の記載があり、または重要な事実の記載が欠けているとき
● 法人・法人の役員等、個人事業主・支配人、その他支店長・営業所長等が、次のような要件に該当しているとき
①成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
②不正の手段で許可を受けたこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者
③許可の取り消しを逃れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者
④建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれが大であるとき、
又は請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
⑤禁固以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
⑥建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為
の防止に関する法律の規定に違反し、または刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった
日から5年を経過しない者
⑦暴力団員等(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員
でなくなった日から5年を経過しない者)
⑧暴力団員等がおその事業活動を支配する者
許可の有効期間と許可の更新
建設業許可の有効期間は5年です。
許可を受けた日の5年後の許可日の前日をもって満了します。
引き続き、建設業許可を受けている建設業者として営業をするためには、許可を受けたときと同様に許可の更新手続きが必要になります。
この許可の更新手続きは、許可の満了日までに申請する必要があります。
2019年4月1日に許可を受けた場合は、2024年3月31日に許可が失効します。
許可の満了日『2024年3月31日』は日曜日で、申請先の窓口はお休みです。
このような場合でも、許可の満了日『2024年3月31日』をもって失効してしまいます・・・
許可の更新手続きは余裕をもって行うことをおすすめいたします!